【偶然の再会】

宮城県名取市の閖上地区からは、礼菜(れいな)ちゃんと真菜(まな)ちゃんの姉妹が参加

してくれることになりました。私が初めて2人に出会ったのは、まだKPJの話すら出ていなかった4月下旬、初めて被災地を訪問したときのことでした。避 難所の小学校で、元気いっぱいに遊んでいる小学生の集団に遭遇し、礼菜ちゃんと真菜ちゃんはその中心となってキラキラと飛び回っていました。僕は持ってい たカメラで、子どもたちの元気な姿を写真に撮らせてもらいました。東京に帰ってフィルムを現像し、印画紙に焼き付けられた子どもたちの笑顔を見ていると、 どうしても写真を直接手渡したくなり、僕は次の休みに会いに行くことにしました。

名取のKPJメンバーの礼菜ちゃんと真菜ちゃん(photo by ©Masataka Namazu/311 Kids   Photo Journal)
名取のKPJメンバーの礼菜ちゃんと真菜ちゃん(photo by ©Masataka Namazu/311 Kids Photo Journal)

ちょうどその頃、KPJの企画が持ち上がり、7月上旬に再び宮城を訪れました。しかし、つい数日前に全員が仮説住宅に入り、避難所は解散したという話を耳 にしました。それは喜ばしいお知らせだったのですが、住所も知らない僕は、もう2人と一緒に遊べなくなってしまったな、と寂しい気持ちを抱いたのも正直なところです。

避難所に伺う必要がなくなった僕は、津波で全壊してしまった「閖上小学校」に向かいました。どんな小学校だったのか実際に訪れてみたかったからです。校庭には子どもたちが毎日遊んでいたであろう遊具がそのままになっていて、歓声が聞こえてこないのがとても残念でした。

閖上小学校の体育館に積み上げられていたランドセル。(photo by ©Reina Tamada/Miyagi/  311 Kids Photo Journal)
閖上小学校の体育館に積み上げられていたランドセル。(photo by ©Reina Tamada/Miyagi/ 311 Kids Photo Journal)

僕は校庭の奥にある体育館に入り、泥がきれいに落とされた無数の家族写真に見入っていました。地元の方々も自分たちの写真がもしかしたらあるのではないか と、写真の山から一枚一枚、真剣に見ておられました。そんな光景を見つめていると、だだっ広い体育館の中で、ふと見慣れた顔と目が合いました。

「あ~!」

そうです。礼菜ちゃんと真菜ちゃんのご家族でした。震災以来、その日初めて自宅周辺と閖上小学校まで来てみた、とのことでした。もう会えないかもと思って いた矢先に偶然にも再会できて、僕はこの素晴らしいご縁に心から感謝しました。その日も夕方までずっと、閖上小学校の校庭で走り回って遊びました。

礼菜ちゃんと真菜ちゃんがKPJに参加してくれることとなり、これから何を撮りたいかを訪ねたところ、「閖上を撮りたい」と即答してくれました。津波で街 が壊滅してしまった閖上は、住民のほとんどが知り合いで、幼稚園、小学校、中学校まで一緒に育つ、昔ながらのコミュニティーが残っていた小さな浜町でし た。

街の中心にある公園のすぐそばに住んでいた礼菜ちゃんと真菜ちゃんにとって、そんな自分の街がやはり一番の宝物で、これから街が元気になっていく様子を写 真に収めたいとのことでした。これから街がかつての賑わいを取り戻してゆく様子を、礼菜ちゃんと真菜ちゃんの視線を通じで、皆様にもお届けすることができ ると思います。

閖上名物の朝市もスーパーの駐車場を借りて復活。(photo by ©Mana Tamada/Miyagi/311   Kids Photo Journal)
閖上名物の朝市もスーパーの駐車場を借りて復活。(photo by ©Mana Tamada/Miyagi/311 Kids Photo Journal)

応援よろしくお願いいたします。

 

3/11 Kids Photo Journal

生津勝隆